1.屋外広告物に関する最近の事故
先週の7月2日(日)に、埼玉県寄居町にある県立川の博物館で2日正午頃、屋外の遊具の説明が書かれた案内板が倒れ、家族と来場していた男児(10)の頭にぶつかる事故があったことを埼玉県が5日発表しました。
男児は後頭部を4針縫うけが。木製の支柱の根元部分が腐食していたとのことです。発表によると、倒れた案内板の支柱は1辺が約13センチの角材で高さは約2・3メートル。ステンレス製の案内板が2枚ついていたとのことです。
▼首都圏 NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230705/1000094499.html
2.過去の事故と国土交通省の規制の経緯
平成27年に札幌市で、ビルの外壁に緊結された看板の一部が落下し、当該建物に接する歩道を通行していた歩行者の頭部に当たり、重傷を負う事故が発生しました。事態を重く見た国土交通省は、都道府県を通じて特定行政庁に緊急調査を通知しました。
▼広告板の調査について 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000531.html
▼広告板の調査結果の公表について 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000556.html
▼看板落下事故の概要及び札幌市の対応について 札幌市
https://www.city.sapporo.jp/kensetsu/dokan/kokoku/documents/siryou27-1.pdf
この調査では、対象となったものは、
「平成19年度上期の建築物防災週間より開始している広告板の落下防止対策に関する調査において、調査対象となっている建築物。」で、
「(略)落下物による災害の発生の可能性が高い地域内にある、外壁に広告板が取り付けられている建築物で、地階を除く階数が3以上であり、かつ、竣工後おおよそ10年以上経過したもの。」に限定されております。
平成27年4月10日時点の都道府県からの報告によると、
➀調査対象建築物の数「71,542棟」
②是正指導が必要とされた建築物の数「1,516棟」(2%)だったのですが、
③引続き調査が必要な建築物の数「23,338棟」(32%)にのぼり、これは、調査期限内に報告のなかった建築物や所有者の特定が出来なかった建築物の数とのことでした。
この調査は、あくまでも、
「特定の地域内」
「外壁に広告板が取り付けられている建築物」
「地階を除く階数が3以上」
「竣工後おおよそ10年以上経過」に限定されております。
従いまして、屋外広告物の総数で考えると一部の調査となります。
ちなみに、福島県内では、
➀調査対象建築物の数「579棟」
②是正指導が必要とされた建築物の数「19棟」(3%)
③引続き調査が必要な建築物の数「250棟」(43%)
当時調査できなかった建築物の数が4割を占めました。
これらをきっかけに、以下の経緯で、全国の都道府県・特定行政庁において条例の制定や改定がされ、屋外広告物の安全点検の義務化と許可更新時の行政指導が進んでおります。
【平成27年9月】
○国、自治体、業界団体、有識者による検討委員会を設置し、屋外広告物の所有者向けに、日常管理の留意事項や日常点検のチ
ェックポイント等をとりまとめた、「オーナーさんのための看板の安全管理ガイドブック」を策定し、周知。
【平成28年4月】
<屋外広告物条例ガイドラインの改正等>
・平成28年4月、国において、有識者等の検討委員会による検討を踏まえ、屋外広告物の所有者等による点検の促進等を
内容とする屋外広告物条例ガイドラインを改正し、各自治体に通知。
【平成29年7月】
<屋外広告物の安全点検に関する指針(案)の作成等>
・屋外広告物の点検の実効性を高めるため、許可更新の際の安全点検報告書における点検箇所や点検項目等を盛り込んだ
「屋外広告物の安全点検に関する指針(案)」を作成し、各自治体に通知。(平成29年7月28日付け)
3.弊社で取り扱った最近の許可更新申請時の行政指導の事例と注意点
以下は、弊社で取り扱った福島市で指摘を受けた事例と注意点を中心に、箇条書きになりますが、掲載致します。
◇異常があった場合(腐食、破損、照明の不点灯など)
・補修する予定はあるのか(申請者と協議しているか)を明確にしないと不可です。
点検時に補修しないのであれば、今後、申請者側でどのような対応を行うのかを伝える必要があります。
・経過観察とする場合でも、広告物の外観が劣化等で見栄えが良くない場合、
「次回までに補修、修繕するよう申請者に伝えてください」と福島市から連絡をしてくる場合もあります。
◇福島市は、条例改正に伴って、過去に許可した案件についても再チェックする動きが出ています(既存不適格)。
・是正しない場合、改修や表示変更の許可はしないということもあります。
・照明、広告物の追加申請、表示変更申請の有無も許可更新申請の際にチェックしているようです。
・許可更新申請の添付書類である写真は、点検写真に加えて、全体の写真も添付くださいと言われています。
例えば、店舗の場合、点検写真+店舗全体の引きの写真が必要です。
・また、対象広告物以外の広告物の現状も、許可更新申請の際にチェックしたいそうです。
例えば、適用除外した広告物がどれか?面積は適正か?がチェック項目となります。
◇押印廃止
・申請書への押印廃止が完了していない自治体が、まだまだあります。
委任状の添付の要・不要も、自治体によって考え方がバラバラです。
◇適用除外(許可のいらない広告物)の定義も様々で細かい規定があります。
・自己用広告は15㎡までは許可なしで設置可能です。
・一方、福島市の場合、
同敷地内の広告物の面積が合計15㎡以上の場合…合計の面積から15㎡まで許可対象から除外できる。
ただし、許可対象となる広告物と同じ壁面に設置している広告物は除外できない。
・郡山市の場合、15㎡を超えた時点で同じ敷地内にある広告物は全て許可対象となる。
◇「駐車場サイン」「INサイン」の扱いがバラバラです。
・福島市は「駐車場サイン」「INサイン」などは、管理用広告として処理するため適用除外になります。
・一方、他の自治体によってはこれらが許可対象になる場合があります。
・サインの設置場所が道路大通り沿いの場合など、「不特定多数に訴求する広告」と認められれば自己用広告に入る場合があります。
・管理用広告=「自己の管理する土地や物件の管理上の必要に基づき設置する屋外広告物」という考え方が、自治体及び担当部署の担当者によって異なりますから確認が必要です。
4.最後に許可更新申請とは関係ないのですが、福島県内におけるデジタルサイネージの取り扱いについて
ここ最近お問い合わせ来ることが多いとのことです。
なお、あくまでも弊社の私見ですので、ご了承下さい。
設置のご要望またはそのご相談の際は、弊社にお問い合わせ下さい。
➀福島県内では、まだデジタルサイネージについて特別な規制や条例を制定しておりません。
②商業地域や国道沿いに設置する場合は、あまり問題はなさそうです。
③それ以外の場所でも土地所有者の了解が得られていればOK等、条件はわりと緩いようです。
④福島市の場合、規制地域の区分けによっては「自己用以外の建植広告」は
設置不可なので、サイネージにて「他社の広告を複数流す」という場合は設
置の場所によって注意が必要です。
⑤都市部ではサイネージに係る規制がありますが、福島県内においても制定される可能性はあります。
(平成21年に電光表示広告物のに設置基準がありますがこれ以降の改正はなようです。)
▼電光表示広告物等の設置基準が新設になります - 福島県
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/26097.pdf
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